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円環する男と女―両性具有の時代へ(仕掛中) [宮迫千鶴]

円環する男と女―両性具有の時代へ

円環する男と女―両性具有の時代へ

  • 作者: 加藤 清, 宮迫 千鶴
  • 出版社/メーカー: 春秋社
  • 発売日: 2005/11
  • メディア: 単行本


この本は冒頭部分で『男はもう論外』と突き放されているものですから最初はムッとしました。
女性の社会進出肯定という今更・・・・なテーマの面白くない本なのかなぁ。と思ったのですが読み進むうちにちょっと様子が違う。
『現在は男性化した女性が社会進出したに過ぎないよね』
とあって「ありゃりゃ違うのね。」と来るわけです。
つまり『女性がいくら社会進出したところでそれは女性が「男性性」を獲得したまでの事で、本当は女性の「女性性」そのものが社会進出し「男性性」と調和していかなくてはならない』という事なんですね。
つまり、外見として性別としての「女性」が社会進出を果たしたとしても、それは「男社会=ルールにガンジガラメニされた社会」での進出に過ぎず、直線的な行動原理を持つ「男性性社会」がこのまま続けば行き詰まりになるのではないか?、女性本来が持つ価値観が社会に反映されるべきなのではないかというところに主題があります。
ボクは自分が「男」であるというところに比較的こだわりの強い人間だと思います。しかし一方で「男」であることにこだわり続ける姿勢に行き詰まりを感じ始めてもいます。言い方を変えれば女性の価値を認め始めているというか・・・。特に最近個人的にお会いした方々、やや女性の方が多いのですが彼女たちの人間性の深さに素直に「素晴らしいな」と思えるようになってきました。

この本には沖縄に古代から連綿と続く祭りの意味やAC(アダルトチルドレン)の話など話題は多岐にわたります。
沖縄(それも離島の)お祭りは一度この目で見てみたいなと思いました。本土のお祭りといえば男主体の荒っぽいダンジリ、お神輿を想像しますが、沖縄のお祭りは男女協働なのだとか。つまり男衆は「行動する」という形で、女衆は「在る」という形で協働であり、本土のお祭りでは女性はギャラリーに徹することが少なくなくそれも「在る」といえばそれまでなのですが・・・。しかし沖縄のお祭りでは「在る」という事に深い意味づけが行われていて参加しているとその事がよく分かると加藤清さんはおっしゃられています。

AC(アダルトチルドレン)の問題は精神医学の世界ではもはや「病気」という定義ではなく「現代人の標準形」という定義であるのだとか。またACであったとしても高度な社会適応性を発揮してケネディやクリントンのように大統領にまで登りつめた人もいますし(ブッシュも多分ACだと思うのですが彼の場合社会適応性に関して・・・な気がします。)、AC=社会適応できない人というわけではないようです。
で、ACが爆発的に増えてしまった理由は日本では地域コミュニティーの実質的な意味付けが失われたり、大家族制や核家族の崩壊で、子供が100%の信頼をおいて発達の初期段階を過ごす事ができなかったためだとか。(※「ベーシック・セキュリティ」の欠如。くれぐれもAC=悪い、劣っているということではありません)。日本では団塊の世代以降はキチンとベーシック・セキュリティを確立できた人のほうが稀だと記されており、それにはボクも納得できました。
ボク自身地域社会が大音響を立てて崩れ去るのを目の当たりにして育ったし、確実にACだと思います。
ただしベーシック・セキュリティは成長期を過ぎても確立することが可能で、アメリカのキャリアウーマンは骨董屋で他人が見れば何の変哲もない「アーミッシュ」の顔のない人形を見つけたことがきっかけでココロの安定を獲得したり、既にベーシック・セキュリティを獲得した人や社会との出会いにより急速にベーシック・セキュリティを確立することができるのだとか・・・。
ボク自身、今ベーシック・セキュリティの確立期にあるのかもしれません。
そんな気がします。

※ベーシック・セキュリティ:
エリクソン、E.H.によって提唱された心理社会的発達段階の八段階のうち、最初の段階の発達課題。この時期に、主たる養育者による養育行動や対人関係の中で、安心感のある一貫した態度を受け取ることにより、乳児が養育者に対して肯定的な像を持つことができれば、その感情が人間に対する基本的な信頼感を形成すると同時に、自らへの信頼とさまざまな能力への信頼を形作ると考えられている。

<TB/リンク>
 ⇒ 58*blog
   銀座・ギャラリー58のブログ
   宮迫千鶴さんのスナップが掲載されています。
 ⇒桜子の美健楽ダイエット・ニュース
   宮迫千鶴さんの近況に少し触れてらっしゃいます。
 ⇒コタツムリ日記
   宮迫さんの『かぼちゃの生活』という本を紹介されています。


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コメント 6

駆出者@杉並区

はじめまして。
トラックバックありがとうございました。また、宮迫さんの新刊が出たのにきづかなかったので今回の記事は参考になりました。
宮迫さんについてはうちの拙いブログでも数回取り上げておりますので、ご参考までにトラックバックを返させていただきましたがうるさいようでしたら削除ください。
なお、うちのブログにこちらのブログへのリンクを貼らせていただいてもよろしいでしょうか?
by 駆出者@杉並区 (2005-12-13 04:12) 

binten

駆出者@杉並区さん
コメントありがとうございます。

宮迫千鶴さん、倉敷に住む彼女の友人から紹介していただき今回初めて本をお借りして読ませていただいた次第です。
本の冒頭から「男はダメ」とくるものですからやや被害妄想と先に読み進めることへの一抹の不安を抱きつつ読み進めていったのですが次第に新たな視点が開かれるような感じがしました。
出会えてよかったなと思える本です。

>うちのブログにこちらのブログへのリンクを貼らせていただいてもよろしいでしょうか?

どうぞ、どうぞ。(^^)
TB、ありがとうございます。
by binten (2005-12-13 05:28) 

yokoyu8

はじめまして。トラックバックありがとうございました。まだブログを始めて間もなくて、初めてのトラックバックなので嬉しいです。ヤフー以外ともつながるんですね。(よくわからないままやっています)去年だったか、有楽町で宮迫さんが展覧会をされてて、入ったら本人がいらしてドキドキしました。また訪問させていただきます。
by yokoyu8 (2005-12-13 11:56) 

binten

yokoyu8さん
コメントありがとうございます。
TBさせていただきました。ありがとうございます。
お返事遅れてしまいました。ごめんなさい。

>ヤフー以外ともつながるんですね。
はい!、ブログはサービス提供会社の枠を超えてます。(笑)
ブログって楽しいです。

>有楽町
宮迫さんにお会いになられたのですね。
きっとそこにいらっしゃるだけで安堵した空気をかもし出す御方なのかな、と想像します。
そのうち倉敷にも遊びにいらっしゃるとか。
ボクも機会を見つけて個展見に行きたいです。

話は宮迫さんから離れますが・・・。
もし有楽町にちょくちょく通われているのなら・・・。
有楽町にファーストフードのSUBWAYがありまして、通りを隔てた反対側の1Fがラーメン屋さん(10年前までは)のビルの地下に「鈴??」という寿司屋さんがありました。これが安くて旨かった。変な店でね。オヤジの口が悪いのなんの・・・。
でも優しい人だった。大好きでした。
並ばなきゃ入れないのに俳優さんも時々1人でふらりといらっしゃったり・・・。
ここのヒレ酒は2合は入る湯飲みにフグヒレが5枚入って確か500円だったか700円でした。
あれは旨かった。冬の寒い夜は最高です。
今も店やってるのかなぁ。
by binten (2005-12-14 05:18) 

ichibangai

こんにちは。いつもありがとうございます。久しぶりにこちらをのぞくことができました。
『円環する男と女』面白そうですね。
男と女という切り口が、沖縄の文化にまでふれた言及がいい感じですね。
私は沖縄に移り住んで今年で10年目なのですが、面白い事に東京で暮らしていた時にはまったく感じた事の無かった『自分とは・・・?』みたいなことをものすごく感じるようになりました。それは、私が歳をとったり結婚したり離婚したり子供を産んだりと、いろいろな要因がきっかけでもあるんでしょうが、私はそれは沖縄だからこそ起こった私の変化だと思っています。
言葉にならない、だけど確かに感じる、そんな沖縄があるんですね~
年が明けたら、八重山に『十六日祭』という行事の取材に出る予定です。『円環する男と女』、それまでに読んでおきたい一冊ですね。
by ichibangai (2005-12-16 14:59) 

binten

ichibangaiさん
いつもお世話になっています。
コメントありがとうございます。
「沖縄コザ いちばんぬるい夜・・・」
http://ameblo.jp/ichibangai/
このブログタイトルは「喜屋武マリーの青春」を読んだ方なら何となくニュアンスが伝わってくる(はず・・・?)。
でも最近のコザはぬるくはなく寒いのですね。

>『円環する男と女』
この本は宮迫千鶴さんと加藤清さんの対談形式です。
沖縄のお祭りについては加藤清さんが語られています。
加藤さんの記事を読むと沖縄のお祭りには本土では失われてしまった古代のお祭りの根源的な意義がまだまだ脈々と息づいているのかなと感じました。
偶然なのですが昨日宮迫千鶴さんフラリと(?)我が街倉敷にいらっしゃったのだとか・・・。
だとか、じゃなくてじっくりお話をお伺いするチャンスがあったのですが先延ばしできない仕事がたんまりと残っていましたので・・・。

>言葉にならない、だけど確かに感じる、そんな沖縄があるんですね~
それ、なんだか分かる気がします。
沖縄(読谷と那覇)には1回きり2泊しかしていないのだけれど。

>八重山に『十六日祭』という行事の取材
いぃなぁ~。
by binten (2005-12-17 10:37) 

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